全く信頼されていない状況から、どのように効果的なコーチングをするかについて

こんにちは。山田です。

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

基本的に「誰やねんお前」状態の現場

さて、コーチングの対話をするためにはコーチとクライアントの信頼関係が大前提になりますが、私が赴く現場では、お相手のビジネスプロフェッショナル達は初対面では基本的に私のことを全く信用していません。

そりゃそうですよね。相手の方がポジションが偉いし、実績もあるし、さっきまで部下に檄を飛ばしてきたところだし…

そんな背景でホッカホカの状態でセッションのお部屋にいらっしゃいます。

そんなクソ忙しい中で「コーチング受けてきて」と言われて向かった部屋に、私のような年下の若造(ちょうど今しがた叱った自分の部下ぐらいw)が座っているのを見ると「なんじゃコイツ」と思うのが人情です。

私だって立場が変わればそう思いますよ、ホントに。

 

短時間で信用されるための手法

そうした現場で、限られた時間内に、深い気づきから、腹落ち、行動変容に臨場感がわいているような状況まで持っていくのが仕事ですが、フィードバックアンケート一つを武器にその会話を作り出せるようになるにはそれなりの工夫と修練、そして数多くのイタい経験が必要でした(遠い目)。

そんな中から今日は一つ、このような(コーチにとって)シビアな現場でコーチングセッションをどういう会話から始めているかをお伝えしたいと思います。

ということで、内容的にはプロ用ですが、面談などでも使える考え方なので、状況に応じてお使いいただければと思います。

 

なにわともあれまずは「目的の同意」

コーチングセッションの冒頭では、まず「これからやること」について同意が必要です。

何を目的に、どんな会話をするのか。

山田はこれを「ジョハリの窓」を使って説明します。以下、具体的なトークを再現してみますので下の絵を見ながらご覧になってください。 

スライド27 (1)

 

オリエンテーション的にこんなトークをします

・コーチングという言葉がいつも誤解を呼ぶのでイマイチだと思っているのですが、私のような者が〇〇さんを指導する立場にはありません

・〇〇さんの話し相手としてここにいると思ってください。ただ、私は訓練された特殊技能を持った話し相手です。

・「訓練された話し相手」とどんな話をするかということですが…「ジョハリの窓」ってご存知ですか?

・(手書きで絵を描きながら(←ここポイントです))〇〇さんについて「山田が知っていること」「山田が知らないこと」「〇〇さんが知っていること」「〇〇さんが知らないこと」でマトリックスを作ると4象限のマスができます。

・ここで、現時点では「お互いに知っていること」の情報しかこの場には出ていないですよね。「〇〇さんの役職」とか「お名前」とか「私の所属」とか「氏名」とかそういう情報です。

・次の段階として、〇〇さんに自己開示いただき、「〇〇さんが知っていることで山田が知らないこと」の情報をこの場に出していただきます。

・一般論ですが、人は自分のことがわかっているようであまりわかっていません。ですので、次の段階として、〇〇さんの自己開示に対して、私からフィードバックしたり、様々な観点から質問したりします。

「〇〇さんが知らないことで山田が知っていること」の情報がこの場に出るわけですね。

・そうして両側の窓が開くことで、〇〇さんのことについて、〇〇さんが知らず、かつ山田も知らないこと、すなわち「誰も知らないこと」が明らかになります。

・この「〇〇さんについて「誰も知らなかったこと」」が非常に貴重な情報で、このような形で自己認識が深まれば、皆さんビジネスのプロフェッショナルですから、自ずと取るべき行動も明らかになるのですよね。

こういう会話をしていきたいのですがよろしいですか?

とこんな感じでトークをし、同意を取り付けていけば、皆さん疑心暗鬼ながらも御同意いただけます。

言い換えると、やるべきことについて腹落ち」はしていなくても「理解」をしていただけると御同意いただけます。

しっかりとロジックで説明をすることが重要です。

 

実は「全部入り」の内容

で、じつはこの会話の中でコーチングを進めるにあたって必要な同意事項はほぼすべて入っていて、

(1)自己開示していただくこと

(2)質問させていただくこと

(3)フィードバックすること

(4)(1)~(3)の目的は自己認識を深めることであること

(5)深まった自己認識の上で行動変容を生み出していくこと

ということについて、「ジョハリの窓」を説明することで一挙に同意が取れている状態ができてしまいます。

なんとまぁ、素晴らしい。

とってもエコで省力化ですね。

 

ビジネスプロフェッショナルの信仰は「ロジック」

ビジネスプロフェッショナルは、見かけは怖い人も多いですが、皆さんロジックの世界で生きていますので、自分が一度同意したロジックには基本的に逆らいません

彼らの思考習慣やプライドがそれを許さないんですよね。そういうところがビジネスプロフェッショナルとして成功されている所以であり、私は心から尊敬できるところです。

そして、実はここがコーチの皆さんがあまり臨場感がないところ。「左脳型」とかいって相手の信仰を否定してはいけません。

 

ロジックでしっかりと道筋をつけること

相手が疑心暗鬼であろうと、セッションの中でロジックで道筋を示し、不明な点があれば都度それに戻ることで、目的を持った円滑な会話は確保されます。

そうして会話の道筋を作ったら、あとはひたすらコーチングカンバセーション。

仕事の価値観や譲れないところ、目的とするところ、そして現場でのチャレンジの中から盲点になっていたところ(クライアントさんにもコーチにも見えていなかったところ)、そんな会話をしながら様々なことが明らかになっていきます。

これをまた「ジョハリの窓」に立ち戻ってお伝えすることで「自分には見えていないものがあるのだ」ということに臨場感をもってもらえると、自ずと信頼関係はできていきます。

しっかりと内省し、自分の心の中を感じることを大事にするためには、感じることに視点を向けていただくための思考の補助線が必要です。

まずは相手の思考様式に合わせないと、摩擦熱でお互いにエネルギーを消費してしまいますね。

 

その後はしっかりと内省の時間を

「なんかコイツに対して自己開示することで、これまで見えていなかったものが見えてくるぞ。」という感覚を持っていただけるとしめたもの。

信頼関係の下でより深い自己認識を話題にしていくことができます。

最初に戦略的に準備してしっかりと手間をかけておくことで、後工程の会話はより短時間で、より深いものになります。

 

プロフェッショナルとしての美意識

相手はお忙しいエグゼクティブ。

相手に無用なエネルギーをかけさせずに、相手の思考様式から入り込んで、短時間で深い内省を進め、心を開いて新たな自己認識に到達していただき、腹落ちして行動変容してもらうこと。

ビジネスプロフェッショナルに信頼されるには、何よりもまずこれが重要です。

そして、かくいう私自身もプロフェッショナル。

いかにこの「矛盾した動作」を両立させるか、ということについてのたゆまぬ追求が、実は自分のコーチとしての美意識だったりもします。

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ABOUTこの記事をかいた人

山田 亨(TORU YAMADA)

現代哲学からコーチングを解釈した視点をもとにクライアントさんと関わり、現実の課題に対応しながら意識の深層からの変化をガイドすることで、単なる現実面での目標達成のみならず、思考や精神のあり方自体を創造的に体質改善するトレーナーをしています。

職業は肉体改造をガイドする「フィジカルトレーナー」にならって、ビジネスパーソンの精神的な体質改善をガイドする「メタフィジカルトレーナー」を名乗っています。

注1:メンタルトレーナーとかスピリチュアル系のコーチではありません。念のため。

注2:余談ですが昔スポーツクラブでフィジカルの方のトレーナーもやっていました。