「理念」を伝える処方箋

こんにちは、山田です。

さて、昨年来、クローズドの勉強会を開いているのですが、その中で「理念が伝わらない」という悩みが共有されました。僕自身、アドバイスをしている中で気づくところもありましたので、そのエッセンスを紹介しますね。

   

理念が伝わらないという悩み

メンバーに理念が伝わらないというのは古今東西、経営者/リーダーの大きなお悩みの一つ。特にエッジの立った理念を掲げるコンセプチュアルなリーダーほどこの問題は苦しみます。

日々伝え続けている「ありたい姿」、仕事にかける「想い」。

メンバーには都度都度語りかけ、また、面談などで時間をとっては語り合ってはみるものの、ますます溝を感じるリーダー。そんなことはありませんか。

   

どうやったら伝わるのか/なぜ伝わらないのか

こうした問題を考える時、「どうやったら伝わるのか」と解決策を探すのではなく「なぜ伝わらないのか」を正しく理解することの方がはるかに大事。原因の特定が浅いと解決策も浅いところでとどまってしまうからです。

世の中にはいろんな解決策が出回っていますが、問題認識を誤ると正しい解決策にはたどり着きません。「どのような解決策があるか」以前に「どのように課題を定義するか」の方がはるかに大事です。

  

伝わらない理由 

ということで、伝わらない理由を考えてみたいと思います。

そして答えは至ってシンプル。「理念」「ビジョン」「ありたい姿」は「未来」を語っているからです。

経営者/リーダーの頭の中には「未来」はリアリティのある現実として確かにあります。でもメンバーの頭の中には「未来」は「未来」でしかありません。このような状況で「未来に向けて行動を変えて欲しい」と言っても「頭ではわかっているけど…」ということになりかねませんね。

普通の人は「未来」はなかなかイメージできません。

   

語るべきは「今」感じられるもの

「未来」はそれを語る経営者の心の中には臨場感を持って確かに存在しますが、それを聞くスタッフの心の中には、「今」存在しないものです。「今」存在しないからそこに「臨場感」はわかない。リアリティがない。これが伝わらない大きな原因です。

では、スタッフの心に「今」存在しうるものは何か?

それは「痛み」。人は「未来の素晴らしい姿(快楽)」よりも今の「痛み」に敏感です。

そして、先ほど普通の人は「未来」をイメージできないと書きましたが、その理由は経営者がいくら「素晴らしい未来」を語っても、メンバーはそのプロセスで経験するであろう「痛み」の方が臨場感が高いためです。だから無意識的に未来から目を反らす。

人は今の痛みは何としても避けたいという宿命を持った生き物です。

    

「未来」にたどり着くために

たとえば、こんな画像…

写真出典:http://www.ibtimes.co.uk/kerstin-langenberger-i-feel-honoured-my-emaciated-polar-bear-picture-sparked-climate-change-debate-1520220

ドイツ人の写真家 Kerstin Langenberger の撮影されたホッキョクグマの写真です。地球温暖化の文脈で一時話題になったのでご覧になった方も多くいらっしゃると思います。

地球温暖化の原因については諸説ありますが、でも仮に「持続可能な未来を作ろう」というフレーズに響かなかったとしても、この写真一枚で多くの人は自らの生活を振り返るのではないでしょうかでしょうか?  

それは、このシロクマが感じているであろう「痛み(P)」に共感した「痛み(P’)」が自らの心の中に生じているから。この事象は「今」起きているものであり、それに応じた痛みは「今」心の中に確かにあります。

そして、その痛みを解消したいと思い行動する(この場合、Co2排出にちょっとだけ気をつけるとか…)。

「より良い未来を手に入れる」のではなく「今の痛みを避ける」ために行動する。人はその方が動きやすい存在です。あまり露骨にやると恐怖政治になりかねませんが、この性質は上手く使っていきたいもの。

    

多くの人がいきているのは「今」   

人に何かを伝えたい時、まず語るべきは「未来のありたい姿」ではなく、現状への「嘆き」「憤り」「悲しみ」のような質の高いネガティブな感情(個人的な恨みはダメですよ)なのかもしれません。

経営者が「ありたい姿」を語るのは、その背景に裏表としてある、何らかの原体験から生じる「嘆き」「憤り」のような質の高い負の感情があるからです(逆にそのような原体験がない理念にはエネルギーがこもりません)。

どうも理念が伝わらないなぁと思った時、その理念の奥にある原体験、それに伴う強い感情を語ってみてはいかがでしょうか。

もしかしたら、メンバーの「今」に響いていくのではないでしょうか?

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ABOUTこの記事をかいた人

山田 亨(TORU YAMADA)

現代哲学からコーチングを解釈した視点をもとにクライアントさんと関わり、現実の課題に対応しながら意識の深層からの変化をガイドすることで、単なる現実面での目標達成のみならず、思考や精神のあり方自体を創造的に体質改善するトレーナーをしています。

職業は肉体改造をガイドする「フィジカルトレーナー」にならって、ビジネスパーソンの精神的な体質改善をガイドする「メタフィジカルトレーナー」を名乗っています。

注1:メンタルトレーナーとかスピリチュアル系のコーチではありません。念のため。

注2:余談ですが昔スポーツクラブでフィジカルの方のトレーナーもやっていました。