ある企業マネージャーのコミュニケーション改善記

こんにちは。山田亨です。

いつもお読みいただきありがとうございます。

さて、個人で契約させていただいているお客様のお話ですが、掲載の許可をいただいたので「部下とのコミュニケーション改善」というテーマでのセッションの様子から今日はお届けしたいと思います。

 

やればやるほど改善される関係性 

その方はとある企業のマネージャーで、4回目のコーチングセッション。

自分がリーダーシップ開発の際に主に活用するプログラムであるTLCThe Leadership Circle)のコンセプトをお伝えしつつコーチングを進め、クライアントさん自身も着実に行動することで、

周囲の部署や関係者との関係性は改善し、特にこじれていた、その部署の古株との関係性も好転、以前よりストレスなく仕事を進められるという循環が作り出されていました。

 

難関のゆとり世代…

そんなクライアント氏の目下の悩みは部下との関係性。入社後日の浅い(新人ではない)若い部下のあり方に頭を悩ませているようでした。その部下は言われたことはきっちりやるけど、自分の仕事が増えるのを強く嫌い、露骨に不満げな態度。

チームの業務量から見ると、その部下にもしっかり働いてもらわなければならず、その部下に対する自分のグリップがイマイチ効いていないことを気にされているようで、

(1)がっつり関わる

(2)そこそこはやってくれているので、それでいいやと諦める

の二択から、どうしようかなというところで、気持ち的には(1)の方向に揺れているけど、辞められたら嫌だなぁという恐れもあるようでした。

さて、問題はこの問題にコーチとしてどのように対処していくかというところです。

 

答えは自分の外側にもある

通常こういう話を扱う際には「自分はどうしたいのか」という意図、「部下とどういう関係を築きたいのか」というビジョン、「その際に感じる恐れはどのようなものか」というブレーキなどを見ていくのがスタンダートなやり方だと思います。  

もちろんそれも大事なのですが、こういう場合も構造主義以降の現代哲学を学んでいると、問題の見え方が違ってきて、対応の幅が大きく広がってきます。

私はクライアント氏に「部下と1対1の関係性の問題に持ち込んではいけない」とアドバイスしました。

 

自分の価値は自分では決められない

というのも、現代哲学の視点から見ると「自分の価値」は自分では決められません。

「自分は〇〇だ」といくら自分にアファメーションしても、他の人がそう思わないと「自分は〇〇」という存在にはなれないのです。

人は「関係性」の中で生きており「自分を変えよう」と思うと、行動によってその「関係性」を変えていくしかありませんし、それによって「他者からの評価」がよくなると、この社会に存在する「自分の価値」も上がることになります。

これが自分を取り巻く「構造」を変えていくということであり、自分の価値は自分だけでは決められないということ(他者に迎合するということではありません。念のため)。 

コーチがこのことを腹落ちしていないと、コーチングの会話も「自分はどうあるべきか」という視点に固定されてしまって、その結果、コーチングのプロセスは苦しくなって、手詰まりになる場合もあるんじゃないかなと思っています。

 

なぜ、そのようなアドバイスをしたのか

さて、ここで、クライアント氏の状況ですが、以前は周囲との関係性が必ずしも良好とは言えませんでした。

その仕事ぶりを見て、部下はクライアント氏のことを侮っていたので、そういう反抗的な態度を示していた可能性があります。

でも、最近のクライアント氏はTLCThe Leadership Circle)の考え方をマスターし、自身のリーダーシップの質を改善し、周囲との信頼も築いている状況です。すなわち、周囲からの信頼が以前より増している状況なんですね。

こういう背景がありましたので、私は、部下との直接対決をする前に周囲との関係性をより強固なものにするようアドバイスしました。

周囲から「クライアント氏はちゃんとした人だ」と見られるようなかたちを作り「そういうクライアント氏に反抗的な態度をとる部下はおかしい」という世論がなんとなく形成された時点で「(1)がっつり関わる」の方向で勝負に出る。

そのくらい「したたか」でもいいんじゃないですかと。

クライアント氏自身も「部下もそのあたりの空気感はとてもよく見ていて機を見るに敏なので、とても良い方向性だ」と納得、次回に向けて行動を進めることとなりました。 

「マネージャーである自分は部下との1対1の関係をしっかりグリップしないといけない」という視点が外れてかなり楽になられたようです。

 

コーチングのベースとなるメタ知識 

コーチングもいろいろありますが、基本的には構造主義以前の実存主義哲学をベースにしており、多くの人もそういう風に捉えています。

・自分はどのようにしたいのか?

・自分は何者になりたいのか?

その裏にあるのは「自分の人生は自分で形づくることができる」という考え方です。 

でも、実際には世の中そんなに甘くない。自分が思っているほど簡単には自分の人生を形作ることはできない、ということを明らかにしてくれるのが構造主義以降の現代哲学。そして、このことは、しっかり仕事をして、他者との関係性の中で勝負をしている人ほど肌で感じています。

 

「つわもの」たちへのコーチングに必要なもの

そういう人たちに「あなたは何をしたいのか?」と真摯に問い、本当に価値をご提供するには、コーチ自身も「世の中そんなに甘くないんですよね」の部分にしっかり向き合わないといけないわけで、これはもう現代哲学を学ぶのが一番の近道です(なぜならば、私たちが生きている世の中の「構造」を明らかにしてくれているから)。

それを乗り越えてこそ、ビジネスの現場でギリギリの戦いをしているプロフェッショナル達に対して「あなたは何者になりたいのですか」と問いが届く、というのが僕が確信しているとこです。

ということで、以下のコミュニティ、別にコーチングを教えるわけではないですが、コーチの皆さんのレベルアップにもお役に立てる内容ですので、是非一度ご覧になってみてくださいね。

「答えを生み出し続ける力」を身につける超実践的哲学コミュニティMCP(Maren Club Premium)

2016.05.12

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ABOUTこの記事をかいた人

山田 亨(TORU YAMADA)

現代哲学からコーチングを解釈した視点をもとにクライアントさんと関わり、現実の課題に対応しながら意識の深層からの変化をガイドすることで、単なる現実面での目標達成のみならず、思考や精神のあり方自体を創造的に体質改善するトレーナーをしています。

職業は肉体改造をガイドする「フィジカルトレーナー」にならって、ビジネスパーソンの精神的な体質改善をガイドする「メタフィジカルトレーナー」を名乗っています。

注1:メンタルトレーナーとかスピリチュアル系のコーチではありません。念のため。

注2:余談ですが昔スポーツクラブでフィジカルの方のトレーナーもやっていました。