箱根駅伝『青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」』を現場で活かすために必要なこと(その2)

こんにちは、山田です。

さて、先日の記事の続きです。

箱根駅伝『青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」』を現場で活かすために必要なこと

2017.01.04

実は元ネタの青学原監督の書かれたこの記事、後半部の方が抽象度が高く非常に価値の高い話になっています。でも、いやだからこそちょっと理解しにくい部分もあります。

 

管理職の本当の仕事とは

管理職の仕事は管理じゃなく変化と感じ取ることだと原監督は言います。

ここまで成熟したチームになると、監督が前面に出る必要はなくなります。成熟するまでは教える立場ですが、成熟したチームになると、変化を感じ取るのが主な仕事になります。

そしてチームのささいな変化を感じるために必要なのは、本気で観察することだと言っています。

監督としてチーム状況の些細な変化を感じるために必要なのは、本気で観察することです。日頃から注意深くチームを見ていると、後々大きな問題になりそうなちょっとした変化に気づけるものです。

 

いやいや「本気で観察しろ」って言われても…

多くの方はここにきて???となるのではないでしょうか。

いやいや、本気で観察しているんだけど。。。

観察してるけど何も見えないんだけど。。。

などなど、いろんな疑問が湧いてきます。この部分の落とし込み、腹落ちのレベルの差がこの文章に書かれていることを実戦に活かせる人と、前半部分のわかりやすいHow toだけを理解して満足する人の結果の差につながっていきます。

この記事では本気で観察できるようになるための考え方、マインドセットについてお伝えしたいと思います。 

 

観察するものは「兆し」

古来より東洋の人は、自然は一つとして同じ状態にとどまらず、刻一刻と変化していくように、世の中の全てのものも常に変化し続けるものだと考えています。いわゆる「諸行無常」というやつですね。

その際、変化の前触れには必ずその「兆し」があります。夏の一番暑い時期にはすでに日照時間は短くなり始めていて、そこには秋の兆しがすでに入っている。また、一番寒い時期にはすでに太陽は高くなり始めていて、春の兆しはもうそこにあります。

人や組織についても同じ。その状態は常に変化しており、一つの状態に止どまることはありません。でも、私たちはなぜか一度うまくいくとその状態が続く、常にうまくいくと考えてしまう。過去の成功体験にとらわれ、変化へのアジャストが遅れてしまいます。

 

誰の意思でもない構造が自ら変化を作り出す

そして、この観察すべき変化の「兆し」は誰の意思でもなく発生するというところがこの記事を読み解くうえで大きなポイントになります。

以前こういう記事を書きました。

トップに立ったチームが衰退する理由(なでしこJAPANに見るチーム作りのむつかしさ)

2016.03.10

なでしこJAPANを例にとってみましたが、トップに立ったチームが衰退する理由です。ここではみんな頑張っていて誰一人として悪気はない、でもなぜか噛み合わない。そういうことが起こる理由を書いています。

トップに立った瞬間にすでに取り巻く環境が変わっており、その環境の変化が徐々に選手の心に作用し、知らず知らずのうちに考え方にギャップが生まれ意思疎通が鈍くなったり、追い込み方が苛烈さを増し、怪我につながったり…

トップに立った瞬間にうまくいかなくなる兆しがいくつも発生しています。そういう兆しが必ず出てくるものだと想定して観察すること。これが「本気で観察すること」であると私は考えています。

 

ささいなことからも変化は生まれる

そして、別に上に書いたような大きな構造変化じゃなくても、ささいなことからも変化の兆しは生まれてきます。

例えばある人物が急角度で成長している時、その姿は必ず周囲に何らかの影響を及ぼします。あるものは刺激を受けモチベーションが上がり、あるものは焦って追い込みすぎる。

また、合宿など追い込んだ練習の後は、相当程度体に疲労がたまっていますので、知らず知らずのうちに空気が緩んでいきます。

「霜を踏んで堅氷至る」という言葉がありますが、それを許していると、霜だと思っていたものがいつの間にか人の力では割れない氷になってしまっているように、知らず知らずのうちに手がつけられないようなチーム全体の緩みにつながっていきます。

ハードなトレーニングに耐えられているかどうか、目標達成を焦って追い込み過ぎていないかどうか、キャプテンはチーム全体をうまくまとめているか、4年生がリーダーシップを発揮して統制の取れた雰囲気になっているかどうかなど、選手たちの動きを遠くから眺めています。

そして、選手たちが間違った方向へ傾きかけていると感じたときだけ動きます。

たとえば、ウォーミングアップをしている部員の姿に緊張感が足りないなと思ったときは、部員の側に近づきます。いつもは遠くで見ている監督が近づくだけで、部員は自分たちの状態を察知します。部員が緊張感のなさに気づけば、私はまた、定位置に戻ります。

「本気で観察する」という言葉の奥にはそのような前提となるマインドセットが入っているのではないかと考えております。

 

状態は安定しないことを前提とする

「状態は誰の意思でもなく自動的に変化する」ということについての認識、リアリティが甘いと「本気で観察する」ことはできませんし「兆し」を捉えることはできません。

今回一つの例を取り上げてみましたが、何かの言説を前にした時、その言説を本当に理解するためには、語られていることそのものよりも、語られていることがどういう意識状態から語られているのか、また、語られている情報の背景にある語られていない情報は何か、そんなところに視点をあてることが非常に重要になってきます。

 

受け取る情報量を極大化するために

こうした視点からのお話はわかりにくく、商売になりにくいので、なかなか市場に流通することはありません。出版不況で近年ますますわかりやすく薄っぺらくなっているビジネス書などではなおさらです。

ビジネスにおいて信頼される人とは、語られていることの裏側にある背景情報を深く読み取れる人。すなわちintelligenceがある人です。そういう視点を持っている人は任される仕事の質が違ってきますし、高い視点を持っている人からも目につきやすくなります。

なぜなら、そのような人は希少な存在だから。

背景情報を読み解く本質的な視点を身につけるためには本質的な思考法を学ぶことが必要であり、googleの登場で知識がバーゲンセールになっているこれからの時代、差をつけるのは語られていない背景情報を掴む力です。

この文章を最後までお読みいただいた志の高い方、特にプロフェッショナルとして何かに取り組まれている方にはこんな場もありますのでよかったら一緒に学びましょう。

それでは、ありがとうございました。

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ABOUTこの記事をかいた人

山田 亨(TORU YAMADA)

現代哲学からコーチングを解釈した視点をもとにクライアントさんと関わり、現実の課題に対応しながら意識の深層からの変化をガイドすることで、単なる現実面での目標達成のみならず、思考や精神のあり方自体を創造的に体質改善するトレーナーをしています。

職業は肉体改造をガイドする「フィジカルトレーナー」にならって、ビジネスパーソンの精神的な体質改善をガイドする「メタフィジカルトレーナー」を名乗っています。

注1:メンタルトレーナーとかスピリチュアル系のコーチではありません。念のため。

注2:余談ですが昔スポーツクラブでフィジカルの方のトレーナーもやっていました。