「ただの評論家」と「視点の高い人」との違いとは

仕事力向上

 

仕事を進める上で、物事に没入することなく状況を俯瞰して客観的に見ることは必要です。一方で、状況を俯瞰して分析ばかりしていると「あいつは評論家だ」という後ろ指も刺されることにもなりません。

状況を俯瞰するとき、どのような点に注意する必要があるか、少し考察してみます。

とあるマネージャーと部下の会話

こんな話がありました。

とあるマネージャー氏、営業所の運営に当たる中、マネージャー氏に対して反抗的な部下(※ 戦力にはなっている)との関わりに苦慮していました。コーチングのテーマとしてこの部下に対し、どう接していくか作戦を練っていたのですが、ある日、その部下とこんな話をしたと報告してくれました。

マネージャー氏
「私(マネージャー氏)とあなた(部下)の関係性が悪いことは本部にも知られていて、次の人事異動は私かあなたが異動することになりそうだ。」
マネージャー氏
「ただ、私としてはあなたとの関係がこのまま終わるのは本意では無く、あと一年だけでも一緒に頑張りたいと思っており、その旨、人事担当者に申し出たいと思っている。」

この話を伝えた時、その部下はとても意外な顔をしてマネージャーの顔を見ていたそうです。「はじめて心と心のコミュニケーションが通じた感じだった」とマネージャー氏は私に語ってくれました。

心の成長はいつまでも

このようなコミュニケーションができるようになったのはマネージャー氏の心が成熟した証。私はマネージャー氏に対して心底感動し、認知の言葉を伝えるとともに、以下のようなお話をお伝えしました。

やまだ
「○○さん、高い視点から状況を見ると言うことと、評論家であることの違いってわかりますか? どちらも俯瞰して物事を見ていますが、評論家って俯瞰してみている絵柄の中に自分の姿はないんですよ。」
やまだ
「一方、高い視点から物事を見られる人は、当事者でありながら、自分さえも問題を構成する部分として、状況を冷静に俯瞰してみる事ができる人です。そういう視点で物事を見られるようになってきていますね。」

そのように状況を見て、今回のようなコミュニケーションができるようになったマネージャー氏は、以前よりもかなり視点が上がってきています。

「信頼されるリーダー」になるためにとても大事なこと

自らをも問題(状況)を構成する「部分」として見る事ができるか否か。この視点を持てるのが信頼されるリーダーの一要素です。

なお、後日談ですが、残念ながらマネージャー氏の申し出は届かず、その部下は別の部署に異動が決定したようですが。しかしながらこの接し方を続ける事ができれば、関係性はずいぶん改善されただろうと私は思います。

自分の周囲で起こる物事は、自分もその構成要素の一部分であること。ついつい忘れがちな視点ですね。

ABOUT US

山田 亨(TORU YAMADA)
『心の参謀本部』主宰、人材育成・組織開発活動家
経営者、管理職向けのヒューマンスキルなど教育、コンサルティング、コーチングをテーマに活動。このサイトでは現代思想・現代哲学をベースにした高抽象度の視点から現場での人材育成・組織開発について論考しています。