こんにちは。山田です。
人材開発の現場から思うこと
ビジネス場面でのコーチングのテーマはいろいろありますが、表のテーマは彼ら彼女らの直面するビジネス上の課題です。
でも、それには必ず「裏のテーマ」があり、裏のテーマはそれが課題となっていることの原因のうち、クライアントさんの中に要因があるテーマです。
言い換えると、直面する物事から浮き上がってくる「その人が越えるべき壁」が裏のテーマになってきます。
その「越えるべき壁」こそがその人の能力開発のテーマであり、現在のステージで、または次のステージに進んだ時の結果の源となるものです。
僕は常にここに着目してコーチングの会話もガイドしています。
「不安」と「恐怖」の違い
その中から、一つの視点をシェアしてみましょう。
「不安」と「恐怖」似たような言葉ですけど意味が違います。僕が取り入れている区分は、
不安:対象がないもの
恐怖:対象があるもの
「漠然とした不安」とかいいますよね。
目に見えない「不安」
多くのビジネスパーソンは、自分のやるべきことはなんとなくわかっています。特に優秀なエグゼクティブほど自分のやるべきことはわかっている。
でも、そんな人もどこかで何かに「恐怖」を感じている。
そして、多くの人はその「恐怖」が意識の深いところに沈んでしまい(恐怖からは目をそらしたいですもんね)、自分が何に「恐怖」を感じているのかさえ意識できていない。
でも、確実に「恐怖」があるから、それが意識の上では「なんか不安」という気持ちになる。
そうなるとエネルギーが分散し、思い切った行動ってなかなか取れません。
まぁ、不安の正体は究極的にはアレなんですけど、長くなるので、これはメルマガなど別の機会にお話しします。
「不安」を「恐怖」に転換していく
何か物事がうまくいかない時、僕はその人が感じている「不安」の根源を明確にし、その人の「恐怖」があきらかになるように会話をデザインしていきます。
もちろん、これはオーダーメードでやりますし、その人の状況に合わせて受け取ってもらえるような「強さ(=深さ)」と「分量」で処方をしていきます(この辺の塩梅がそのコーチの「力量」だと思います)。
で、人間って不思議で、ソフトフォーカスで焦点が定まらない「不安」が、焦点が定まり、対象が明確で焦点化された「恐怖」に変わっていくにつれて、その「恐怖」に立ち向かう「勇気」も同時に出てくるんですよね。
「恐怖」に向き合ってもらうのは、その人の生命力の発揮である「勇気」を出してもらうため。人は対象が明確な「恐怖」に直面すると、結構、勇気、出せるんですよね。
「勇気」のみなもと
そして、勇気はなんのために発揮するのか。それは、一言で言うと「自分より大きなもの」のため。
家族なのか、信頼する社長のためなのか、部下のためなのか、お客様のためなのか…
対象はいろいろあるけど、自分を超えた、自分が大事に思うもののために、自分の恐怖を乗り越えて動くとき、その瞬間に働くのが「勇気」なんですよね。
人の能力開発の基本は「愛」
「愛」っていう言葉もいろいろな解釈があって、それぞれが好き勝手に使っているんだけど、ここでも好き勝手に意味付けさせてもらうと、
その人が直面する「恐怖」はそれがそのままその人の能力開発のテーマとなってきます。
そしてそれを乗り越えるためには「勇気」が必要であり、その勇気の源は、より大きなものへの想い、言い換えると大きな愛情です。
例えば上司とか社長さんとか、育てる側の人に大事なのは、自分自身もそうした「愛」の力で動いていることがまず必要ですし、部下が「勇気」を出して乗り越えていくことを信じることが大事です。
「当事者」としてこれをやるのは本当に厳しいこと
こうして偉そうに書いていて思うのは、私たちコーチのような虚業の人間って「人を信じましょう」とか簡単に言えるんですよね。これはこれで啓蒙活動としては大事なんです。
でも、ビジネスの場面で様々な物事に直面して、これをやり切るのは本当に凄いこと。
そういう方にお会いした時、心から「凄いなぁ」と尊敬してしまいます。