こんにちは。山田です。
うだるような暑さですね。夏本番ですので、たまには辛いのを書いてみようと思います。
「問」の設定がすべて
アインシュタイン博士は「世界を救うために一時間を与えられたら、55分は問題の分析に使い、残り5分で解決を図る」みたいな趣旨のことをいったそうですね。
以前、このことはこちらの関連記事でも書きました。
それくらい、問いの設定というのは重要なこと。
クライアントさんと相対するときにも、その人のテーマ、問いの設定自体が適切なのかな、というところはよくよく眼を凝らして見ています。
コーチングの良さはどうやったら伝わるのか
そんな中、現場でいろいろな方と接していて感じるのは、皆様、多かれ少なかれ「コーチング」という言葉自体は知っていて、興味のある方も多いように思います。
これは先人の努力の賜物であり、本当にありがたいことです。
一方で、それにお金を払うかというとまた別問題。形がないものだし、そもそも何の役に立つのかよくわからないし、ということで出てくるのが見出しの問。
今日はこの問について分析してみましょう。
善悪の基準
まず、根本的な問題として、そもそも「良い」「悪い」とはどのようにして決まるのでしょうか?
それは目的、目指す方向によって決まります。
例えば白いネクタイと黒いネクタイはどちらの方が良いか、という問。
シチュエーションがお葬式の場面だと「黒ネクタイ>白ネクタイ」だし、結婚式の場面だと「白ネクタイ>黒ネクタイ」となります。
別の例を出すと、日常の場面では人殺しは罪だけど、戦争だとより多く殺すことが名誉となるというのもよく言われる話。
「何を目的とするか」「どこに行きたいのか」によって、関係する物事の善悪、良否は自ずと決まる。つまり絶対的な善悪というのはこの世にはありません。
こうした「目的」や「目指す方向」のことを、まるめて抽象化すると「上位概念」という言葉で表されます。「上位概念」次第で物事の善悪、必要・不必要などはいとも簡単に変わります。
「上位概念」を変換する
とすると「コーチングの良さ」を伝えるためには、コーチングに関する、相手の頭の中の上位概念を変換していく必要があります。
このため、僕たちは「コーチングの効能」や「お客様の声」「コーチングとは何か」ということを一生懸命訴求します。
でも、これでどれほどの効果があったでしょうか?
少なくとも僕は3年ほどプロとしてやっていますが、これだけではなかなかイマイチ響いていないような感じがしていますね。
「コーチングの良さ」という文章に潜む問題点
はたしてこれはナゼでしょうか。
「善悪の判断」は相手のものであり、それは相手の頭の中の相手の目的や目指すもの、その他の基準によって判断されます。
ですので、相手の頭の中の上位概念を変換していくためには、独りよがりの善悪判断ではなく、曇りない心で相手の頭の中の文脈を見ていく必要があります。
ここで「コーチングの良さ」という文章を見るとどうでしょうか。
残念ながら、すでに「コーチングが良いもの」というところで意味が固定してしまっている状態。
「良い」か「悪い」かは上位概念にある判断基準によって決まるはずなのに、下位概念のほうが先に固定されてしまうことで、その他の上位概念を持った人とのコミュニケーションが成り立たなくなっている状態です。
下位概念が固定されることで、世界が分断されてしまっている状態。
相手の判断基準を尊重しながら、こちらの文脈に引きつけてくる必要があります。
どう考えれば良いの?
大事なのは、先にこちらの善悪を固定せず、ニュートラルに相手の頭の中の文脈(=上位概念)を観察すること。
その上でその上位概念をもう一つ上の階層の上位概念から変換していくこと。
相手の目的とするところの方向性と、コーチングを結べるロジックがつながると、コーチングの価値はよく認識していただけます。
そのためのまず第一歩は「コーチングの良さ」を信じるのと同じくらい、コーチ自身が「コーチングの良さ」を疑うことが必要です。
徹底的に疑うことで、物事を客観的に見ることができるようになり、視野も広げることができます。
これは自らのコンテンツやコーチングのあり方を省みる機会にもつながりますね。
「疑う」ときに大事なこと
そして、この際大事なことは、同じ抽象度で否定しないこと。
低い抽象度でコーチングのスキルや効果というものだけを疑うのではなく、
- コーチングはそもそも何をするものなのか?
- コーチングはなぜ必要なのか?
- 「ゴール」とは何か「目標」とは何か?
- コミュニケーションとは何か、成長とは何か?
- そもそも人の心とは何なのか、体とは何なのか?
- 人の意識とは何か、人の意識は何からできているのか?
- 組織とは何か、社会とは何か、関係性とは何か?
みたいなレベルから問いを立て、人に伝えられるよう言語化し、自分の提供しているサービスがその問題意識に答えているかということを常に疑い、改善しておく必要があります。
相手の上位概念のさらに上から対話する
このレベルから考えておくことで、相手が普段考えている「目的」や「問題意識」のさらに上位概念からコーチングの必要性・有効性を語れるようになります。
これを「メタ認知」と言います。
自分や世界、自分のコンテンツをメタ認知して初めて、興味のない人にも伝わる説明ができるようになる。
このブログもたまに「わかりやすい」というお言葉をいただきとても嬉しいのですが、それは何よりもまず、お伝えする事柄をメタ認知できているからということに尽きます。
異常な結果を叩き出すセールスマンから「メタ認知」という言葉を教えられ、ここ2年ほど、日々努めていると、大分見える景色が変わってくるようになりましたね。
上位概念から考えるための補助線
でも上位概念から落とし込むための「メタ認知力」を上げていくって、なかなかフリーハンドではやりにくいんですよね。
そのためには「補助線」が必要です。
僕の場合、様々な哲学の思考法がこの補助線の役割を果たしてくれました。アンチテーゼからジンテーゼに至る「弁証法」をはじめとして、古来から哲学者たちが真実を求めて命をかけて思考してきた数々の命題は、この世界の「概念」を縦横無尽に操るための究極のツール。
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この究極のツールである「哲学」の知識と、その使い方を実践を通じて身につけてもらう(メタ認知力を上げる)ための「超実践的哲学コミュニティMCP」を8月より開講いたします。
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コミュニティ自体は7〜8ヶ月の長期となり、この機会を逃すと次期の受付はおそらく来年ですので、ご興味のある方はまずはダイジェストセミナーにいらっしゃってください(関東以外の方に向けてWebセミナーも予定しています)。
それでは、今日はこの辺で。
ありがとうございました。
P.S. もちろん、僕自身はコーチングは良いものだと思っていますよ。
P.S. & 良いものだという信念が揺るがないんだったら、徹底的に疑っても大丈夫なはず。
P.S. && 今回はコーチングの話でしたが、こうした話を自分の業界や置かれた立場に当てはめて理解出来る人が「メタ認知」ができている人です。
こういう人は「すべてのこと」から学べる人で、当然、成長速度もすごいですし、結果も出せますね。